胃がん末期とは、一般的に遠隔転移を伴うステージ4の状態や、根治的な治療が難しくなった段階を指して使われる言葉です。
医学的に「末期」という明確な定義があるわけではありませんが、がんが胃の外へ広がり、治療の目的が完全な治癒から病状のコントロールや生活の質(QOL)の維持へ移行する段階を指す場合に使われます。
胃がんでは腹膜転移(腹膜播種)が起こることが多く、進行すると、
・食事がとれない
・吐き気や嘔吐
・腹水によるお腹の張り
など、消化器特有の症状が現れることがあります。
本ページでは、胃がん末期の症状、生存率、余命、治療、緩和ケア、生活の過ごし方などについて、公表データをもとに整理します。
なお、本ページで紹介する生存率や余命は統計データに基づく参考情報であり、個々の患者の経過を示すものではありません。
胃がん末期とは(ステージ4との関係)
胃がんでは、がんの広がりを示す指標としてステージ分類が用いられます。
ステージは次の要素によって決まります。
・腫瘍の深さ(胃壁への浸潤)
・リンパ節転移
・遠隔転移
一般に「胃がん末期」は遠隔転移を伴うステージⅣを指して使われることが多くなります。
胃がんで多い転移部位は次の通りです。
・腹膜(腹膜播種)
・肝臓
・リンパ節
・肺
特に腹膜播種(腹膜転移)は胃がんに特徴的な転移であり、腹水や腸の動きの低下(腸管運動の低下)、食事困難などの原因になることがあります。
近年は抗がん剤や分子標的薬の進歩により、ステージⅣでも病状を一定期間コントロールできる症例が報告されています。
胃がん末期の症状
胃がん末期では、胃の腫瘍や転移によってさまざまな症状が現れることがあります。
食欲低下・食べられない
胃がんが進行すると
・食欲低下
・少量で満腹になる
・食事量の減少
などがみられることがあります。
これは
・胃の機能低下
・腫瘍による通過障害
・腹膜転移
などが関係する場合があります。
吐き気・嘔吐(通過障害)
胃の出口付近に腫瘍がある場合、食べ物が腸へ流れにくくなり
・吐き気
・嘔吐
・胃の膨満感
などが起こることがあります。
このような場合には
・胃ステント
・バイパス手術
・点滴治療
などが検討されることがあります。
腹水(お腹の張り)
腹膜播種がある場合、腹腔内に水がたまり
・お腹の張り
・食欲低下
・息苦しさ
などが起こることがあります。
腹水が多い場合には
・腹水穿刺
・利尿薬
・緩和ケア
などで症状を和らげることがあります。
痛み(胃の痛み/腹膜の痛み/骨転移など)
胃がん末期では
・胃の腫瘍による腹痛
・腹膜転移による痛み
・骨転移による痛み
などが生じることがあります。
がんによる痛みは、医療用麻薬(オピオイド)などの薬剤を用いてコントロールできる場合が多く、適切な治療により生活の質を改善できることがあります。
出血(吐血・黒色便)
胃がんでは腫瘍から出血することがあり
・吐血
・黒色便
・貧血
などがみられることがあります。
出血が強い場合には
・内視鏡治療
・放射線治療
などが行われることがあります。
胃がん末期の生存率
下記は、院内がん登録の公表データをもとに整理した胃がんのステージ別生存率です。
生存率データには、ネット・サバイバル(純生存率)の数値を記載しています。
| stage | 5年生存率 (2015年診断) | 10年生存率 (2012年診断) |
| Ⅰ | 92.8% | 79.1% |
| Ⅱ | 66.6% | 52.0% |
| Ⅲ | 41.4% | 29.3% |
| Ⅳ | 6.7% | 3.9% |
| 全平均 | 70.6% | 57.9% |
出典:国立がん研究センター「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム」
※がん種および診断年を選択して表示される全国集計データをもとに整理しています。
※生存率は院内がん登録の集計に基づく参考値であり、個々の予後を示すものではありません。
●生存率データの注意点(“自分の余命”を決める数字ではない)
ステージⅣの生存率が低く見えるのは事実ですが、統計は平均です。実際の経過は、
・腹膜転移か、肝転移か、複数転移か
・抗がん剤が効くタイプか(HER2、MSIなど)
・体力・栄養状態
・合併症(通過障害・腹水・感染など)
で大きく変わります。
胃がん末期の余命
胃がん末期の余命については、多くの方が関心を持つテーマですが、医学的に正確な余命を予測することは困難とされています。
余命に影響する主な要因は次の通りです。
・腹膜播種の有無
・肝転移
・抗がん剤治療の効果
・栄養状態
・全身状態
抗がん剤治療によって腫瘍がコントロールされる場合、数年以上生活できるケースもあります。
一方で病状が進行した場合には、治療の目的は症状の緩和や生活の質の維持へと移行します。
胃がん末期の経過(病状の進行)
胃がん末期では、病状の進行とともに次のような変化がみられることがあります。
・食欲低下
・体重減少
・腹水の増加
・倦怠感
・体力低下
進行すると
・食事量の減少
・活動量の低下
・眠る時間が増える
などの変化がみられることがあります。
ただし経過には個人差があり、抗がん剤治療によって病状が安定する場合もあります。
胃がん末期で起こりやすい合併症
胃がん末期では、次のような合併症が起こることがあります。
・腹水
・腸閉塞
・出血
・栄養状態の低下
これらの症状に対しては、症状を和らげる治療や緩和ケアが行われます。
胃がん末期の治療
胃がん末期では薬物療法が治療の中心になります。
主な治療は下記の通りです。
抗がん剤
・S-1
・カペシタビン
・シスプラチン
・オキサリプラチン
分子標的薬
(例)
・トラスツズマブ
免疫療法
一部の患者では免疫チェックポイント阻害薬が使用されることがあります。
<参考ページ>
胃がんの抗がん剤治療
がん治療における補完治療とは?
食事と生活の過ごし方
胃がん末期では、食事量の低下が問題になることがあります。
一般的なポイント
・少量を複数回に分けて食べる
・消化のよい食事
・栄養補助食品
食事内容については、主治医や栄養士に相談することが重要です。
緩和ケア
胃がん末期では緩和ケアが重要になります。
緩和ケアの主な内容
・痛みのコントロール
・吐き気の対処
・精神的サポート
・在宅療養支援
緩和ケアは、がん治療と並行して行われる医療です。
よくある質問
| 🅠胃がん末期でも長く生きることはありますか? 🅐抗がん剤治療によって病状がコントロールされ、数年以上生活できる症例も報告されています。 |
| 🅠食事がとれなくなることはありますか? 🅐胃がんでは、腫瘍や腹膜転移の影響で食事量が減少することがあります。栄養管理や症状緩和の治療が行われます。 |
| 🅠胃がん末期で腹水がたまることはありますか? 🅐腹膜播種がある場合、腹腔内に腹水がたまることがあります。腹水が多い場合には、腹水穿刺などの処置で症状を和らげることがあります。 |
| 🅠セカンドオピニオンは受けられますか? 🅐多くのがん診療連携拠点病院でセカンドオピニオン外来が設けられています。 |
まとめ(胃がん末期の理解)
胃がん末期とは、一般的に遠隔転移を伴うステージⅣの状態を指して使われる言葉です。
重要なポイントを整理すると次の通りです。
・胃がん末期は主にステージⅣを指す
・腹膜播種が多い
・食事困難や腹水などの症状が起こる
・ステージⅣの5年生存率は約6〜7%
・治療の目的は病状コントロールと生活の質の維持
・緩和ケアが重要
生存率や余命は統計データに基づく参考値であり、実際の経過には大きな個人差があります。
具体的な治療や見通しについては、主治医と相談しながら判断することが重要です。
<参考文献・出典>
・国立がん研究センター がん情報サービス
・国立がん研究センター 院内がん登録生存率集計結果
・日本胃癌学会 ガイドライン
・各医療機関公開資料
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●がんの名医に教えて頂いた「病院・医者選びのポイント」
●がんの名医に教えて頂いた「名医に診てもらう方法」
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