本ページでは、日本国内のがん診療病院における膀胱がんのステージ別生存率について、国立がん研究センター等が公表している院内がん登録生存率の集計データをもとに整理しています。
数値の読み方や比較時の注意点についても解説していますので、参考情報としてご覧ください。
がん診療病院・専門病院の役割・種類については、こちらをご覧ください。
膀胱がんステージ別生存率(全国集計)
下記は、院内がん登録の公表データをもとに整理した膀胱がんのステージ別生存率です。
生存率データには、ネット・サバイバル(純生存率)の数値を記載しています。
| stage | 5年生存率 (2015年診断) | 10年生存率 (2012年診断) |
| Ⅰ | 82.2% | 62.1% |
| Ⅱ | 54.3% | 40.8% |
| Ⅲ | 38.7% | 31.0% |
| Ⅳ | 18.3% | 15.2% |
| 全平均 | 62.9% | 47.8% |
出典:国立がん研究センター「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム」
※がん種および診断年を選択して表示される全国集計データをもとに整理しています。
※生存率は院内がん登録の集計に基づく参考値であり、個々の予後を示すものではありません。
●生存率を見る際のポイント
がん専門病院の生存率は、患者構成(進行度・年齢・併存疾患など)の違いに大きく影響されます。
特に紹介患者の多い高次医療機関では、進行例や難治例の割合が高くなる傾向があり、単純比較には注意が必要です。
本ページでは、公開データの理解補助を目的として整理しています。
膀胱がんのステージ別生存率の傾向について
膀胱がんと診断された際、多くの方が最初に確認したいのは、「自分(家族)のステージはどれくらい深刻なのか」、そして「膀胱を残して根治を目指せる余地があるのか/全摘が必要なのか」という点です。
膀胱がんでは、ステージの土台となるT分類(深達度)が重要で、特に筋層浸潤の有無が治療の分岐点になります。
非筋層浸潤性では、治療後に再発を繰り返すケースが一定数あり、再発率と長期の監視(膀胱鏡フォロー)がセットで語られやすいのが特徴です。
一方、筋層浸潤性では、膀胱全摘が検討される場面が増える一方で、症例を選んで膀胱温存を狙う集学的治療(化学療法+放射線+内視鏡治療など)も選択肢となり得ます(いわゆる膀胱温存治療/トライモダリティに相当)。
さらに進行例では、近年、薬物療法の選択肢が増え、免疫療法などが治療戦略に組み込まれることがあります。
ただし、本ページの生存率は院内がん登録に基づく集団統計であり、個々の経過を直接示すものではありません。実際の見通しは主治医の評価とあわせてご確認ください。
膀胱がんステージ1について
膀胱がんステージ1は、腫瘍が膀胱の表層にとどまり、筋層浸潤を伴わない段階を含むことが多い病期です。
治療の中心は、経尿道的腫瘍切除術(TURBT)で病変を切除し、再発リスクに応じて膀胱内注入療法(BCGなど)が検討されます。
膀胱がんは「再発しやすい腫瘍」として語られることがあり、早期であっても膀胱鏡による定期フォローが重要になりやすい点が特徴です。
また、血尿などの症状があっても受診が遅れるケースがあるため、特に女性では膀胱炎など別疾患とみなされやすい背景も含め、早期評価が重要とされています(症状の捉え方・受診経路が予後に影響し得るという観点)。
膀胱がんステージ2について
ステージ2は、筋層浸潤を含み得る段階で、膀胱全摘が治療選択肢として本格的に検討されやすくなる病期です。
治療戦略の核心は、「膀胱を残すか/全摘か」で、腫瘍の深達度、範囲、CIS合併、腎機能、年齢、全身状態など多面的に判断されます。
一方で、筋層浸潤性でも症例を選び、膀胱温存を狙う化学放射線療法が検討されることがあります。
日本では、膀胱温存を志向する治療枠組みの一つとして「OMC regimen」*が報告されており、手術(全摘)一辺倒ではない選択肢の議論材料として参照されることがあります(ただし適応は専門施設での評価が前提)。
膀胱がんステージ3について
ステージ3は、より局所進行の要素を含み、切除範囲や再建(尿路変向)も含めた治療設計が難しくなりやすい段階です。
根治を狙う場合は膀胱全摘+周辺臓器・リンパ節の評価が検討される一方、膀胱温存を目指す場合は、腫瘍の局在や広がり、尿路閉塞の有無などを踏まえた慎重な適応判断が必要になります。
治療期間が長くなることもあり、就労・家事との両立、体力低下、合併症(特に高齢者の腎機能や心血管系)への配慮が重要なテーマになります。
膀胱がんステージ4について
ステージ4は、リンパ節や遠隔臓器への転移を伴う状態を含み、治療の基本は全身療法による病勢コントロールとなります。
近年は薬物療法の選択肢が増え、免疫療法が治療戦略に組み込まれる場面もあります(例:維持療法としてのアベルマブなどが承認されている領域があります)。
ただし、治療の適応や順序は、腎機能・全身状態・腫瘍の性質などで大きく変わります。
進行例では、腫瘍制御と並行して、血尿・疼痛・尿路閉塞への対応、栄養状態の維持など、支持療法の重要性が高い点も特徴です。
まとめ
膀胱がんの生存率はステージによって大きく異なりますが、予後を左右する最大の分岐点の一つは筋層浸潤の有無と、膀胱温存が可能な段階にあるかどうかにあります。
特に筋層非浸潤がん(NMIBC)と筋層浸潤がん(MIBC)では、治療戦略と再発リスクの構造が大きく異なる点が本疾患の重要な特徴です。
近年はTURBT後の膀胱内注入療法、免疫チェックポイント阻害薬、さらに膀胱温存を目指す集学的治療(OMC regimen など)*の導入により、症例に応じた治療選択肢の幅が広がっています。
一方で、膀胱がんは再発率が高い腫瘍として知られており、初回治療後も長期にわたる膀胱内監視と全身フォローアップが極めて重要です。
また、生存率は集団統計に基づく指標であり、年齢、全身状態、腫瘍グレード、CIS合併の有無、治療反応性、併存疾患などによって個々の経過は大きく異なります。
治療方針の検討にあたっては、数値のみで判断するのではなく、膀胱がん診療に習熟した専門医による個別評価とあわせて総合的に理解することが重要です。
本ページが公開データを読み解く際の参考情報となれば幸いです。
*膀胱温存療法の詳細については、こちらを参照ください。
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癌の名医に「病院・医師選びのポイント」と「名医に診てもらう方法(どういうルートで先生のところに患者が来るのか)」をヒアリングしましたので、ご興味のある方はご覧ください。
●がんの名医に教えて頂いた「病院・医者選びのポイント」
●がんの名医に教えて頂いた「名医に診てもらう方法」
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