肝臓がん末期とは、一般的に遠隔転移を伴うステージ4の状態や、根治的な治療が難しくなった段階を指して使われる言葉です。
医学的に「末期」という明確な定義があるわけではありませんが、がんが肝臓の外へ広がり、治療の目的が完全な治癒から病状のコントロールや生活の質(QOL)の維持へ移行する段階を指す場合に使われます。
肝臓がんは、がんの進行だけでなく肝臓の機能低下(肝不全)が症状に大きく影響する特徴があります。
進行すると
・腹水によるお腹の張り
・黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
・肝性脳症(意識障害)
・吐血(食道静脈瘤破裂)
・強い倦怠感や体重減少
などの症状が現れることがあります。
一方で近年は
・分子標的薬
・免疫療法
などの治療が進歩しており、進行した肝臓がんでも病状を一定期間コントロールできる症例が報告されています。
本ページでは、肝臓がん末期の症状、生存率、余命、治療、緩和ケア、生活の過ごし方などについて、公表データをもとに整理します。
なお、本ページで紹介する生存率や余命は統計データに基づく参考情報であり、個々の患者の経過を示すものではありません。
肝臓がん末期とは(ステージ4との関係)
肝臓がんでは、がんの広がりを示す指標としてステージ分類が用いられます。
ステージは主に次の要素によって決まります。
・腫瘍の大きさ
・血管への浸潤
・リンパ節転移
・遠隔転移
一般に「肝臓がん末期」は遠隔転移を伴うステージⅣを指して使われることが多くなります。
肝臓がんで多い転移部位は次の通りです。
・肺
・骨
・リンパ節
・副腎
また肝臓がんでは、がんそのものだけでなく肝硬変や肝機能低下が病状に大きく影響することがあります。
肝臓がん末期の症状
肝臓がん末期では、腫瘍の進行と肝機能の低下によってさまざまな症状が現れることがあります。
腹水(お腹が膨れる)
肝臓がん末期では腹腔内に水がたまり、腹水が生じることがあります。
主な症状
・お腹の張り
・食欲低下
・息苦しさ
腹水が多い場合には
・腹水穿刺
・利尿薬
・アルブミン補充
などの治療が行われることがあります。
腹水が繰り返したまる状態は難治性腹水と呼ばれ、症状緩和を目的とした治療が行われることがあります。
黄疸(皮膚や目が黄色くなる)
肝機能が低下すると、血液中のビリルビンが増加して黄疸が生じることがあります。
主な症状
・皮膚や白目が黄色くなる
・尿の色が濃くなる
・強いかゆみ
黄疸によるかゆみは強い苦痛になることがあり、薬物療法などで症状を緩和することがあります。
肝性脳症(意識障害)
肝臓の機能が低下すると、血液中のアンモニアが増加し肝性脳症が起こることがあります。
主な症状
・ぼんやりする
・会話が成立しにくい
・意識障害
肝性脳症は
・薬物治療
・栄養管理
などによって改善する場合があります。
吐血・消化管出血(食道静脈瘤)
肝硬変が進行すると、食道や胃の静脈が拡張する静脈瘤ができることがあります。
静脈瘤が破裂すると
・吐血
・黒色便
などの消化管出血が起こることがあります。
この場合は
・内視鏡治療
・止血治療
などの緊急対応が行われることがあります。
骨転移による痛み
肝臓がんが骨に転移すると
・腰や背中の痛み
・骨折
などが起こることがあります。
骨転移に対しては
・放射線治療
・痛みのコントロール
などが行われます。
肝臓がん末期の生存率
下記は、院内がん登録の公表データをもとに整理した肝臓がんのステージ別生存率です。
生存率データには、ネット・サバイバル(純生存率)の数値を記載しています。
| stage | 5年生存率 (2015年診断) | 10年生存率 (2012年診断) |
| Ⅰ | 63.2% | 36.3% |
| Ⅱ | 45.2% | 21.6% |
| Ⅲ | 17.4% | 7.5% |
| Ⅳ | 5.6% | 2.6% |
| 全平均 | 42.6% | 22.4% |
出典:国立がん研究センター「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム」
※がん種および診断年を選択して表示される全国集計データをもとに整理しています。
※生存率は院内がん登録の集計に基づく参考値であり、個々の予後を示すものではありません。
●生存率データの読み方
肝臓がんは早期に発見された場合、治療によって長期間生存できる可能性があります。
例えば
・ステージⅠ:5年生存率 約63%
・ステージⅡ:5年生存率 約45%
とされています。
一方、遠隔転移を伴うステージⅣでは5年生存率は約5.6%とされており、他のステージと比較して低くなります。
ただし、実際の経過は
・肝機能(肝硬変の程度)
・治療の効果
・全身状態
などによって大きく異なります。
肝臓がん末期の余命
肝臓がん末期の余命については、多くの方が関心を持つテーマですが、医学的に正確な余命を予測することは困難とされています。
余命に影響する主な要因
・肝機能の状態
・腫瘍の広がり
・治療の効果
・栄養状態
肝臓がんでは、がんの進行だけでなく肝不全の進行が予後に大きく影響することがあります。
肝臓がん末期の治療
肝臓がん末期では、全身に作用する薬物療法が治療の中心になります。
近年は新しい薬剤の登場により、進行した肝臓がんでも治療選択肢が増えています。
分子標的薬
肝臓がんでは分子標的薬が使用されることがあります。
代表例
・ソラフェニブ
・レンバチニブ
これらの薬は腫瘍の増殖を抑える作用があります。
免疫療法
免疫チェックポイント阻害薬を用いた治療が行われることがあります。
代表例
・アテゾリズマブ
・デュルバルマブ
免疫療法によって病状が安定する症例も報告されています。
<参考ページ>
肝臓がんの抗がん剤治療
がん治療における補完治療とは?
標準治療後の選択肢
標準治療の効果が弱くなった場合でも
・新しい薬物療法
・臨床試験(治験)
などが検討されることがあります。
緩和ケア(症状を和らげる医療)
肝臓がん末期では緩和ケアが重要になります。
主な内容
・腹水による苦痛の緩和
・痛みのコントロール
・精神的サポート
・在宅療養支援
緩和ケアは、がん治療と並行して行われる医療です。
最期の経過(肝不全でどうなるのか)
肝臓がん末期では、病状の進行とともに
・強い倦怠感
・食欲低下
・腹水増加
・意識障害
などがみられることがあります。
最終的には肝不全によって全身状態が低下することがあります。
ただし経過には個人差があり、症状は緩和ケアによってコントロールされる場合があります。
よくある質問
| 🅠肝臓がん末期では腹水はどのように治療しますか? 🅐肝臓がん末期では腹水がたまり、お腹の張りや食欲低下、息苦しさが起こることがあります。腹水が多い場合には、利尿薬・腹水穿刺(腹水を抜く処置)・アルブミン補充などが行われます。腹水が繰り返したまる場合は難治性腹水と呼ばれ、症状を和らげる治療が中心になります。 |
| 🅠肝性脳症とはどのような症状ですか? 🅐肝臓の機能が低下すると、体内のアンモニアが増加し肝性脳症が起こることがあります。主な症状は、ぼんやりする・会話が成立しにくくなる・眠気が強くなる・意識障害などです。薬物治療や栄養管理によって改善することもあるため、症状に気づいた場合は早めに医療機関に相談することが重要です。 |
| 🅠黄疸によるかゆみは対処できますか? 🅐肝臓がんでは肝機能低下により黄疸が生じることがあります。黄疸が進むと強い皮膚のかゆみが起こることがあります。治療として、かゆみを抑える薬・胆汁排泄を促す薬・皮膚ケアなどが行われ、症状の軽減を図ります。 |
| 🅠食道静脈瘤が破裂するとどうなりますか? 🅐肝硬変が進行すると、食道や胃の血管が拡張して食道・胃静脈瘤が形成されることがあります。静脈瘤が破裂すると、吐血・黒色便・急激な貧血などの症状が現れます。この場合は緊急治療が必要となり、内視鏡による止血治療などが行われます。 |
| 🅠肝臓がん末期ではどのくらい動けますか? 🅐活動量は、肝機能・腹水・体力・栄養状態によって大きく異なります。症状が安定している場合は日常生活を送れることもありますが、病状が進行すると、倦怠感・食欲低下・活動量低下などがみられることがあります。 |
まとめ(肝臓がん末期の理解)
肝臓がん末期とは、一般的に遠隔転移を伴うステージⅣの状態を指して使われることが多い言葉です。
重要なポイント
・肝臓がん末期は主にステージⅣ
・腹水や黄疸など肝機能低下の症状が出ることがある
・吐血(静脈瘤破裂)などの合併症が起こることがある
・ステージⅣの5年生存率は約5〜6%
・治療の目的は病状コントロールと生活の質の維持
・緩和ケアが重要
生存率や余命は統計データに基づく参考値であり、実際の経過には大きな個人差があります。
具体的な治療や見通しについては、主治医と相談しながら判断することが重要です。
<参考文献・出典>
・国立がん研究センター がん情報サービス
・国立がん研究センター 院内がん登録生存率集計結果
・日本肝臓学会 ガイドライン
・各医療機関公開資料
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●がんの名医に教えて頂いた「病院・医者選びのポイント」
●がんの名医に教えて頂いた「名医に診てもらう方法」
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