本ページでは、日本国内のがん診療病院における腎盂・尿管がんのステージ別生存率について、国立がん研究センター等が公表している院内がん登録生存率の集計データをもとに整理しています。
数値の読み方や比較時の注意点についても解説していますので、参考情報としてご覧ください。
がん診療病院・専門病院の役割・種類については、こちらをご覧ください。
腎盂・尿管がんステージ別生存率(全国集計)
下記は、院内がん登録の公表データをもとに整理した腎盂・尿管がんのステージ別生存率です。
生存率データには、ネット・サバイバル(純生存率)の数値を記載しています。
| stage | 5年生存率 (2015年診断) | 10年生存率 (2012年診断) |
| Ⅰ | 78.9% | 59.2% |
| Ⅱ | 65.3% | 49.4% |
| Ⅲ | 53.7% | 40.6% |
| Ⅳ | 12.2% | 8.9% |
| 全平均 | 45.0% | 34.0% |
出典:国立がん研究センター「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム」
※がん種および診断年を選択して表示される全国集計データをもとに整理しています。
※生存率は院内がん登録の集計に基づく参考値であり、個々の予後を示すものではありません。
●生存率を見る際のポイント
がん専門病院の生存率は、患者構成(進行度・年齢・併存疾患など)の違いに大きく影響されます。
特に紹介患者の多い高次医療機関では、進行例や難治例の割合が高くなる傾向があり、単純比較には注意が必要です。
本ページでは、公開データの理解補助を目的として整理しています。
腎盂・尿管がんのステージ別生存率の傾向について
腎盂・尿管がんと診断された際、多くの方が最初に確認したいのは、自身(家族)の進行度がどの段階に位置するのか、そして根治治療がどの程度期待できる状態なのかという点です。
本疾患は上部尿路に発生する尿路上皮がんで、膀胱がんと同系統の腫瘍でありながら、発見時にすでに進行している割合が比較的高いことが知られています。
ステージ判定は、腫瘍の深達度(T分類)、リンパ節転移(N分類)、遠隔転移(M分類)に基づいて決定されます。
特に筋層相当部や周囲脂肪への浸潤の有無、リンパ節転移の有無が予後を大きく左右する重要な要素となります。
治療戦略の中心は腎尿管全摘術(腎臓・尿管・膀胱袖の切除)ですが、腫瘍の大きさや部位、腎機能、全身状態などを踏まえ、腎温存治療や内視鏡レーザー治療(OMC-LRV)*が検討される症例もあります。
また近年は、術後補助化学療法や免疫療法など全身治療の進歩により、進行例における治療選択肢も広がりつつあります。
一方で、腎盂・尿管がんでは術後に膀胱内再発を来す症例が一定数存在することが知られており、長期の膀胱鏡フォローを含めた継続的監視が重要です。
なお、本ページの生存率は院内がん登録に基づく集団統計であり、個々の見通しを直接示すものではありません。
実際の状況については主治医の評価とあわせてご確認ください。
腎盂・尿管がんステージ1について
ステージ1は、腫瘍が尿路上皮内または粘膜下層にとどまる比較的早期の段階に位置づけられます。
院内がん登録では比較的良好な生存率が示されており、根治治療が期待される集団と考えられています。
標準治療は腎尿管全摘術が基本ですが、低リスク腫瘍や単腎症例、腎機能温存が重要な症例では、腎温存手術や内視鏡レーザー治療(OMC-LRV)が検討される場合があります。
ただし、本疾患は多発性・再発性の性質を持つことがあり、術後も上部尿路および膀胱の定期的な監視が重要になります。
腎盂・尿管がんステージ2について
ステージ2は、腫瘍が筋層相当部や周囲組織へ浸潤する段階を含み、再発リスクが上昇し始める病期です。
根治を目指す治療の中心は腎尿管全摘術ですが、リンパ節郭清の適応や術後補助化学療法の必要性について検討される症例が増えてきます。
近年は、病理学的高リスク例に対する術後補助化学療法の有用性が報告されており、再発抑制を目的とした集学的治療が重要なテーマとなっています。
術後は腎機能低下への配慮に加え、膀胱内再発の早期発見を目的とした膀胱鏡フォローが推奨されます。
腎盂・尿管がんステージ3について
ステージ3は、周囲脂肪織浸潤やリンパ節転移を伴う局所進行例を多く含み、予後が大きく分岐する段階です。
院内がん登録では生存率は低下傾向となりますが、根治切除が達成された症例では長期生存が期待される場合もあります。
治療の基本は腎尿管全摘術に加え、症例に応じたリンパ節郭清および全身化学療法の併用が検討されます。
リンパ節転移陽性例では再発リスクが高く、術後補助化学療法の重要性が高まるとされています。
治療後は、腎機能、全身状態、膀胱内再発の監視を含めた多面的フォローが必要となります。
腎盂・尿管がんステージ4について
ステージ4は、遠隔転移(肺・肝・骨など)を伴う状態を含み、治療の基本は全身療法による病勢コントロールとなります。
院内がん登録では生存率は低い水準となりますが、近年は化学療法や免疫チェックポイント阻害薬の導入により、治療成績の変化が報告されています。
薬物療法ではシスプラチン併用療法を基盤としたレジメンが中心となり、腎機能や全身状態に応じて治療選択が行われます。
進行例では腫瘍制御と並行して、疼痛管理、腎機能維持、栄養管理など支持療法の重要性が高い点も特徴です。
まとめ
腎盂・尿管がんの生存率はステージによって大きく異なりますが、予後を左右する重要な要因には、腫瘍の深達度、リンパ節転移の有無、そして根治切除が可能かどうかが挙げられます。
本疾患は膀胱がんと同系統の尿路上皮がんであり、術後に膀胱内再発を来し得る点が特徴です。
近年は術後補助化学療法や免疫療法の進歩、さらに腎温存を志向した内視鏡レーザー治療(OMC-LRV)*など、症例に応じた治療選択肢の幅が広がっています。
一方で、生存率は集団統計に基づく指標であり、年齢、腎機能、腫瘍グレード、リンパ節転移、治療反応性などによって個々の経過は大きく異なります。
治療方針の検討にあたっては、数値のみで判断するのではなく、上部尿路がん診療に習熟した専門医による個別評価とあわせて総合的に理解することが重要です。
本ページが公開データを読み解く際の参考情報となれば幸いです。
*腎温存、内視鏡レーザー治療の詳細については、こちらを参照ください。
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腎盂・尿管がんの名医・専門医リスト
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■名医に診てもらうための道程(近道)
癌の名医に「病院・医師選びのポイント」と「名医に診てもらう方法(どういうルートで先生のところに患者が来るのか)」をヒアリングしましたので、ご興味のある方はご覧ください。
●がんの名医に教えて頂いた「病院・医者選びのポイント」
●がんの名医に教えて頂いた「名医に診てもらう方法」
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