本ページでは、日本国内のがん診療病院における卵巣がんのステージ別生存率について、国立がん研究センターが公表している院内がん登録生存率の全国集計データをもとに整理しています。
卵巣がんは、婦人科がんの中でも進行して見つかることが多い腫瘍として知られています。初期には自覚症状が少なく、腹部膨満感や下腹部の違和感など比較的あいまいな症状で経過することが多いため、診断時にすでに進行しているケースも少なくありません。
一方で、卵巣がんの予後は
・診断時のステージ
・手術で腫瘍をどこまで取り切れるか(完全切除)
・抗がん剤治療の効果
・再発後の治療
などによって大きく変わることが知られています。
ここでは、ステージ別の5年生存率・10年生存率、進行卵巣がん(ステージⅢ・Ⅳ)の見通し、再発と長期予後の特徴、年齢や体力による予後の違い、近年の薬物療法の進歩などを整理し、公開されている統計データを理解するための参考資料としてまとめています。
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卵巣がんステージ別生存率(全国集計)
下記は、院内がん登録の公表データをもとに整理した卵巣がんのステージ別生存率です。
生存率データには、ネット・サバイバル(純生存率)の数値を掲載しています。
| stage | 5年生存率 (2015年診断) | 10年生存率 (2012年診断) |
| Ⅰ | 90.6% | 87.4% |
| Ⅱ | 76.0% | 61.3% |
| Ⅲ | 46.9% | 27.6% |
| Ⅳ | 29.2% | 14.9% |
| 全平均 | 65.3% | 52.8% |
出典:国立がん研究センター「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム」
※がん種および診断年を選択して表示される全国集計データをもとに整理しています。
※生存率は院内がん登録の集計に基づく参考値であり、個々の予後を示すものではありません。
●生存率を見る際のポイント
卵巣がんの生存率を理解する際には、いくつかの特徴を知っておく必要があります。
まず、卵巣がんは大きく
・漿液性がん
・粘液性がん
・明細胞がん
・類内膜がん
などの組織型に分類されます。
このうち高異型度漿液性がんは患者数が多く、進行して発見されることが多いタイプです。一方で、粘液性がんや明細胞がんなどは治療反応性や予後が異なる場合があります。
また、卵巣がんの予後を大きく左右する要因として手術で腫瘍をどこまで取り切れるか(完全切除)が重要とされています。
初回手術で肉眼的に腫瘍を残さない状態にできた場合、長期生存率が高くなる傾向が報告されています。
そのため、生存率はあくまで全体の傾向を示す統計情報として理解することが重要です。
卵巣がんの余命・平均余命について
卵巣がんと診断された際、「余命」や「どのくらい生きられるのか」を気にされる方は少なくありません。
しかし医療現場では、個々の患者に対して「余命〇年」と断定する形で説明されることは一般的ではありません。
卵巣がんは、手術・抗がん剤治療・再発治療などを組み合わせながら長期にわたって病状をコントロールしていくケースもあるためです。
院内がん登録の全国集計では、卵巣がんの5年生存率は
・ステージⅠ:約90%
・ステージⅡ:約76%
・ステージⅢ:約47%
・ステージⅣ:約29%
と報告されています。
この数値からも分かるように、早期の段階では比較的良好な予後が期待される一方、進行した状態で見つかった場合は治療の難易度が高くなる傾向があります。
卵巣がんのステージ別生存率の傾向について
卵巣がんのステージ分類は、以下のTNM分類をもとに判断されます。
・T:腫瘍の広がり
・N:リンパ節転移
・M:遠隔転移
卵巣がんでは、腹腔内に広がる形で進行する特徴があり、腹膜播種や腹水を伴う場合もあります。
治療の基本は、腫瘍減量手術とプラチナ系抗がん剤による化学療法です。
近年は、PARP阻害薬、分子標的薬、維持療法などの薬物療法が導入され、再発後の治療選択肢も広がっています。
卵巣がんステージ1について
ステージ1は、腫瘍が卵巣内に限局している比較的早期の段階です。
治療の中心は手術で、卵巣および子宮、周囲組織の切除などが行われます。場合によっては術後化学療法が検討されることもあります。
院内がん登録の全国集計では、ステージⅠの5年生存率は90.6%と報告されています。
卵巣がんステージ2について
ステージ2は、腫瘍が骨盤内の臓器に広がっている段階です。
治療の基本は手術と化学療法の組み合わせで、腫瘍をできる限り切除したうえで抗がん剤治療を行うことが一般的です。
全国集計では、ステージⅡの5年生存率は76.0%となっています。
卵巣がんステージ3について
ステージ3は、腹腔内への広がりやリンパ節転移を伴う段階です。
卵巣がんでは、診断時にステージⅢで見つかるケースが少なくないとされています。
治療は
・腫瘍減量手術
・化学療法
・維持療法
などを組み合わせて行われます。
院内がん登録の全国集計では、ステージⅢの5年生存率は46.9%と報告されています。
卵巣がんステージ4について
ステージ4は、肝臓・肺などへの遠隔転移を伴う場合を含む進行段階です。
治療では、化学療法、手術、分子標的薬、維持療法などを組み合わせながら、病状のコントロールを目指します。
卵巣がんステージ4の生存率について検索される方は多く、実際の数値を知りたいという声も少なくありません。
院内がん登録の全国集計では、ステージⅣの5年生存率は29.2%、10年生存率は14.9%と報告されています。
ただし、転移の範囲や手術での腫瘍切除状況、治療への反応などによって予後は大きく変わることがあります。
再発と長期生存について
卵巣がんは、治療後に再発する可能性がある腫瘍として知られています。
再発した場合でも、抗がん剤治療、PARP阻害薬、分子標的薬などを組み合わせることで、長期間病状をコントロールできるケースもあります。
そのため、卵巣がんでは再発後も治療を続けながら、長期にわたって生活を維持していくケースもあります。
遺伝性卵巣がん(HBOC)について
卵巣がんの一部には、BRCA1・BRCA2遺伝子の変異が関係する遺伝性腫瘍が含まれることが知られています。
このような遺伝性腫瘍は、HBOC(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)と呼ばれ、家族内で乳がんや卵巣がんが多い場合に検査が検討されることがあります。
遺伝子検査の結果によっては、治療薬の選択に影響する場合もあります。
まとめ
国立がん研究センターの院内がん登録全国集計では、卵巣がんの5年生存率は次のように報告されています。
・ステージⅠ:90.6%
・ステージⅡ:76.0%
・ステージⅢ:46.9%
・ステージⅣ:29.2%
卵巣がんは進行して見つかることが多い腫瘍ですが、手術による腫瘍切除や薬物療法の進歩によって、長期にわたり病状をコントロールできるケースもあります。
生存率はあくまで集団統計に基づく指標であり、実際の経過は患者ごとの条件によって異なります。
具体的な治療方針や見通しについては、主治医の説明を踏まえて理解することが重要です。
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