前立腺がん末期とは、一般的に遠隔転移を伴うステージ4の状態や、根治的な治療が難しくなった段階を指して使われる言葉です。
医学的に「末期」という明確な定義があるわけではありませんが、がんが前立腺の外へ広がり、治療の目的が完全な治癒から病状のコントロールや生活の質(QOL)の維持へ移行する段階を指す場合に使われます。
前立腺がんは比較的進行がゆっくりなことが多く、ステージⅣでも長期間生活できるケースがあります。一方で進行すると
・骨転移による痛み
・排尿障害
・倦怠感
・体重減少
・リンパ浮腫(足のむくみ)
などの症状が現れることがあります。
また前立腺がんではPSA(前立腺特異抗原)の値が病状の重要な指標として用いられ、PSAの上昇が再燃や病状進行のサインとなることがあります。
本ページでは、前立腺がん末期の症状、生存率、余命、治療、緩和ケア、生活の過ごし方などについて、公表データをもとに整理します。
なお、本ページで紹介する生存率や余命は統計データに基づく参考情報であり、個々の患者の経過を示すものではありません。
前立腺がん末期とは(ステージ4との関係)
前立腺がんでは、がんの広がりを示す指標としてステージ分類が用いられます。
ステージは主に次の要素によって決まります。
・腫瘍の大きさ
・周囲臓器への浸潤
・リンパ節転移
・遠隔転移
一般に「前立腺がん末期」は遠隔転移を伴うステージⅣを指して使われることが多くなります。
前立腺がんで多い転移部位
・骨(最も多い)
・リンパ節
・肺
・肝臓
特に前立腺がんでは骨転移が非常に多いことが知られており、腰や背中の痛みの原因になることがあります。
前立腺がん末期の症状
前立腺がん末期では、腫瘍の進行や転移によってさまざまな症状が現れることがあります。
骨転移による痛み(腰・背中・骨折)
前立腺がんでは骨転移が起こりやすく、特に
・腰椎
・骨盤
・大腿骨
・肋骨
などに転移することがあります。
主な症状
・腰や背中の痛み
・骨折
・しびれ
骨転移に対しては
・放射線治療
・骨修飾薬(ゾレドロン酸・デノスマブ)
・痛みのコントロール
などの治療が行われます。
PSA上昇(再燃)
前立腺がんではPSA値が病状の重要な指標になります。
PSAが上昇する場合
・がんの再発
・治療効果の低下
などが考えられます。
ホルモン療法中にPSAが上昇する状態は去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)と呼ばれることがあります。
排尿障害・尿閉
前立腺がんでは
・尿が出にくい
・頻尿
・尿閉
などの排尿トラブルが起こることがあります。
尿閉が起きた場合には
・尿道カテーテル
・膀胱瘻
などの処置が行われることがあります。
脊髄圧迫(緊急症状)
骨転移が脊椎に広がると脊髄圧迫が起こることがあります。
主な症状
・足のしびれ
・歩行困難
・排尿障害
この状態は緊急対応が必要になることがあります。
リンパ浮腫(足のむくみ)
リンパ節転移により
・足のむくみ
・下肢の重さ
などがみられることがあります。
前立腺がん末期の生存率
下記は、院内がん登録の公表データをもとに整理した前立腺がんのステージ別生存率です。
生存率データには、ネット・サバイバル(純生存率)の数値を記載しています。
| stage | 5年生存率 (2015年診断) | 10年生存率 (2012年診断) |
| Ⅰ | 100.0% | 93.8% |
| Ⅱ | 100.0% | 95.1% |
| Ⅲ | 99.0% | 86.2% |
| Ⅳ | 60.0% | 35.9% |
| 全平均 | 95.2% | 84.0% |
出典:国立がん研究センター「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム」
※がん種および診断年を選択して表示される全国集計データをもとに整理しています。
※生存率は院内がん登録の集計に基づく参考値であり、個々の予後を示すものではありません。
●生存率データの読み方
前立腺がんは比較的生存率の高いがんです。
例えば
・ステージⅠ:5年生存率 約100%
・ステージⅡ:5年生存率 約100%
・ステージⅢ:5年生存率 約99%
とされています。
一方、遠隔転移を伴うステージⅣでは5年生存率は約60%とされています。
これは他のがんと比べると比較的高い数値ですが、実際の経過は
・骨転移の範囲
・治療の効果
・全身状態
などによって大きく異なります。
前立腺がん末期の余命
前立腺がん末期の余命については、多くの方が関心を持つテーマですが、医学的に正確な余命を予測することは困難とされています。
余命に影響する主な要因
・骨転移の広がり
・PSA上昇の速度
・治療の効果
・全身状態
前立腺がんは進行が比較的ゆっくりな場合があり、ステージⅣでも数年以上生活できるケースがあります。
前立腺がん末期の治療
前立腺がん末期では、薬物療法を中心とした治療が行われます。
ホルモン療法(男性ホルモン抑制療法)
前立腺がん治療の基本はホルモン療法です。
主な治療
・LH-RHアゴニスト
・LH-RHアンタゴニスト
副作用として
・ほてり
・女性化乳房
・倦怠感
などがみられることがあります。
去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)の治療
ホルモン療法が効かなくなった場合、去勢抵抗性前立腺がんと呼ばれる状態になります。
その場合には
・エンザルタミド
・アビラテロン
・ドセタキセル
・カバジタキセル
などが使用されることがあります。
放射線内用療法(ラジウム223)
骨転移がある場合にはラジウム223(ゾーフィゴ)という放射線内用療法が行われることがあります。
骨転移による痛みの軽減が期待されます。
<参考ページ>
前立腺がんの抗がん剤治療
がん治療における補完治療とは?
緩和ケア(生活の質を維持する医療)
前立腺がん末期では緩和ケアが重要になります。
主な内容
・痛みのコントロール
・排尿トラブルの対処
・精神的サポート
・在宅療養支援
緩和ケアは、がん治療と並行して行われる医療です。
最期の経過(前立腺がんの終末期)
前立腺がん末期では、病状の進行とともに
・骨転移による痛み
・倦怠感
・食欲低下
・体力低下
などがみられることがあります。
前立腺がんは比較的ゆっくり進行するケースが多く、長期間生活できる場合もあります。
よくある質問
| 🅠PSAが上がるのはなぜですか? 🅐PSA上昇はがんの進行や治療効果の低下を示す場合があります。 |
| 🅠骨転移は必ず起こりますか? 🅐すべての患者に起こるわけではありませんが、前立腺がんでは比較的多くみられます。 |
| 🅠排尿ができなくなることはありますか? 🅐腫瘍の影響で尿閉が起こることがあり、カテーテルなどで対応する場合があります。 |
まとめ(前立腺がん末期の理解)
前立腺がん末期とは、一般的に遠隔転移を伴うステージⅣを指して使われることが多い言葉です。
重要なポイント
・前立腺がん末期は主にステージⅣ
・骨転移が多い
・PSAが病状の指標
・ステージⅣの5年生存率は約60%
・ホルモン療法が治療の中心
・緩和ケアが重要
生存率や余命は統計データに基づく参考値であり、実際の経過には大きな個人差があります。
具体的な治療や見通しについては、主治医と相談しながら判断することが重要です。
<参考文献・出典>
・国立がん研究センター がん情報サービス
・国立がん研究センター 院内がん登録生存率集計結果
・日本泌尿器科学会 前立腺癌診療ガイドライン
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●がんの名医に教えて頂いた「病院・医者選びのポイント」
●がんの名医に教えて頂いた「名医に診てもらう方法」
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